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解答例1

 問題は解けましたか?ここで示すものはあくまで解答例であり、他の推定方法もあるかもしれません。

解答のポイントは、

 

・具体的な数値を置く場合、何かしらの理由づけがあるか?

・目的に適ったフェルミ推定の方法か?

 

ということです。1つ目のポイントでは、推定を行う場合はできるだけ論理的に考えるということで、いくら結果が実際の数値に近くても、当てずっぽうに数値を入れて計算しただけなら、その推定の信憑性は下がります。2つ目のポイントでは、売上を推定するのならば、そこから売上を上げる方法を考えるために役立つものではないといけないということです。

 前のページの例題では、ピーク時以外の回転率を上げれば、食堂の売上が上げられると考えられました。しかし、食堂に来る客数を大学のとあるキャンパスにいる全生徒の○○%が利用すると考えた場合はどうでしょう。たとえ適切な数値が求められたとしても、そこから食堂の売上を上げる方法を考えることは困難です。全生徒のうち食堂に来る割合を増やすと言われても、具体的に何をすべきなのかがこれだけでは見えてきません。

 

 以上の点を踏まえた上で、解答例を見ていきましょう。

1.前提条件を確認する

・あなたの街とは、作者の住んでいる神戸市とします。

 人口は約150万人で、まずまずの都会です。

・ラーメン屋は神戸の中心地である三宮にあるお店とします。

・売上は平日の1日の売上とします。

・三宮は商業地域であるため、主な顧客はビジネスマンと考えられます。

 

2.アプローチの方法を決める

売上=顧客1人あたりの平均価格×顧客数

 

顧客数=キャパシティ×稼働率×回転率×営業時間

 

3.推定モデルを作る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

営業時間:5つの場合に分けます。

キャパシティ:中規模のラーメン屋を想定しました。

稼働率:ピーク時と夕食、夜食事が多いと考え数値を当てはめてみました。

回転率:ラーメン屋は回転率が高いので、1人あたりの平均滞在時間は30分と考えました。

 

価格:昼と夜客単価が異なると考え、2つの場合に分けました。

 

昼の場合(11:00~18:00)

 ラーメン1杯が700円とします。中にはサイドメニューも注文する人もいるので、4人に1人がサイドメニューを注文すると考え、価格を200円とすると、昼の1人あたりの価格は、700+200÷4=750円となります。

 

夜の場合(18:00~24:00)

 夜は昼の価格に加え、アルコールを注文する人もいるでしょう。5人に1人がアルコールを注文し、価格を500円とすると、750+500÷5=850円となります。

 

4.計算する

①昼(11:00~18:00)の売上

客数=(1×50×0.3×2)+(1×50×0.7×2)+(5×50×0.05×2)=125

売上=125×750=93,750(円)

 

②夜(18:00~24:00)の売上

客数=(3×50×0.4×2)+(3×50×0.6×2)=300

売上=300×850=255,000(円)

 

①②より、

93,750+255,000=348,750(円)

 

5.実際の数値と比べてみる

 2009年カンブリア宮殿によると、有名チェーン店の1店舗あたりの年間売上高は8000万円から9000万円となるそうです。9000万円を1日あたりの売上に戻すと、9000万円÷365日=246,575円となります。今回の推定とは10万円くらいの開きがあります。原因を考えてみると、営業時間、キャパシティ、稼働率、回転率、価格のどれかを高く見積もりすぎている可能性があります。常識的に考えると、営業時間、回転率、価格は妥当かやや高いくらいであるので、問題はキャパシティか稼働率となるでしょう。キャパシティはもっと小さいか、もしくは稼働率はそんなに高くないということです。有名チェーン店であっても、意外にお客さんは入っていないようです。この数値は全国平均であるため、都会である神戸での売上は、平均より高くなる可能性があります。

 なお、一風堂は有名チェーンの中でも業績が飛びぬけて良く、1店舗あたりの年間売上高が1億7000万円だそうです。1日の売上は、17,000万÷365日=46.58万円となります。

© 2014 Yusuke Nakanishi

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